秋の味覚といえば、椎茸を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。スーパーで手軽に買える椎茸も美味しいですが、私たちが育てている「原木(げんぼく)しいたけ」には、格別の味と香り、そして採れたてならではの感動があります。
淡路島の源流が流れる竹原集落という場所で栽培され、40年以上の歴史がある竹原原木椎茸。今回は、春と秋に開催しているしいたけ狩りの魅力と、採れたての原木しいたけを最高に美味しく味わう方法をお伝えしたいと思います。
原木しいたけと普通のしいたけ(菌床しいたけ)と何が違うの?

皆さんが普段よく目にするのは「菌床(きんしょう)しいたけ」かもしれません。それと私たちが作っている「原木しいたけ」は、育て方からして異なります。
菌床椎茸とは
菌床しいたけは、おがくずに栄養剤などを混ぜて固めたブロック(菌床)を使い、温度や湿度が管理された屋内で栽培されます。菌を植えてから3ヶ月~半年ほどで収穫できるのが特徴です。
原木椎茸とは
原木しいたけは主に「クヌギ」や「コナラ」といった、しいたけ栽培に適した木を原木として使っています。山の自然に近い環境で、木に直接しいたけ菌を打ち込みます。
そして、菌を打ち込んでから収穫できるようになるまで、なんと約2年もの歳月をかけてじっくり育てる。この自然の恵みと手間暇こそが、原木栽培の神髄です。
菌床椎茸と原木椎茸の育て方の違いによる影響
この育て方の違いが、味や食感に大きな違いを生みます。
原木しいたけは、硬い木の皮を自力で突き破って成長するため、身がぎゅっと締まり、食べた時にコリコリとした歯切れの良い食感が生まれます。
また、きのこ特有の土臭さが少なく、風味も上品です。自然の中で育つため、一つ一つ形も味も微妙に違う。その個性豊かな表情も、原木しいたけならではの魅力と言えるでしょう。長い時間をかけて自然の力で育つからこそ、他では決して味わえない深みと食感が生まれるのです。

私たち竹原原木椎茸では、特にこの食感の良さを大切にした品種を選んで栽培しています。見た目は肉厚ですが、食べると驚くほど歯切れが良い。裏側のヒダが真っ白で、きめ細かく美しいのも、私たちが自信を持って育てている証です。
椎茸狩りの醍醐味!「もぎたて」は別次元の美味しさ

私たちの農園では、皆さん自身でしいたけを収穫できる「椎茸狩り」を楽しんでいただけます。椎茸狩りの一番の魅力は、なんといっても「もぎたて」の原木しいたけを、その場で味わえること。
言わずもがなですが、しいたけが一番美味しい瞬間は、間違いなく「もぎたて」です。
もぎたてのしいたけは、水分が内側にたっぷりと蓄えられています。それを口に入れると、噛んだ瞬間にじゅわっと旨味と水分があふれ出し、プリプリ、コリコリとした最高の食感が楽しめます。
収穫してから時間が経っても美味しいのですが、もぎたてでしか味わえない、あのジューシーさと食感は、格別です。ぜひ一度、体験していただきたいですね。
美味しいしいたけを見極める!収穫のポイント

せっかく椎茸狩りに来たなら、一番美味しいしいたけを選びたいですよね。しいたけ狩りに訪れる前に、美味しいしいたけを見分けるポイントをぜひ知っていってください。
市場で良いとされる一般的な目安
店頭で購入するような場合は、以下の状態が望ましいです。
- 傘の開き具合: 7~8分開き。完全に開ききっておらず、全体的にまるっとしている状態が良いとされます。
- 色と模様: 色は濃い茶色より、明るい茶色。傘の表面にある白い鱗片模様(鱗皮:りんぴ)が、くっきりと綺麗に出ているものが新鮮さの証です。
ただし!「もぎたてをすぐその場で食べる」なら、選び方が少し変わります!
しいたけ狩りで収穫する際の目安
もぎたてをすぐに七輪で焼いて食べるのであれば、傘がある程度開いている(完全に平らになる手前くらい)ものを選ぶのがおすすめです。

- 理由1: 丸まったものより火が均一に通りやすく、美味しく焼きやすい。
- 理由2: 開いている方がより旨味を強く感じやすい。という意見が多い。(ただし、完全に開ききって反り返るほどになると、胞子と一緒に旨味が抜けてしまうので、平らになる直前くらいがベストです)
逆に、家に持ち帰って、煮物や炒め物など料理に使う場合は、傘がまるっとしている(7~8分開き)ものを選ぶのが良いでしょう。肉厚で食べ応えがあり、原木しいたけならではのしっかりとした食感をより楽しめます。
収穫した後もしいたけは少しずつ成長して傘が開いていくので、持ち帰る場合は、少し若いくらいで収穫すると、より長く良い状態で保存できます。
見つけた美味しいしいたけを収穫する際は、傘のすぐ下、軸(石づき)の部分を指でしっかりと持ちます。
そして、原木(ほだ木)を傷つけないように、手首を返すようにして、優しく左右にひねる(ねじる)ようにもぎ取ってください。
無理に引っ張ると、しいたけが途中で折れたり、原木やまだ小さい他のしいたけの赤ちゃん(芽)を傷めてしまうことがあるので、力任せにしないのがポイントです。優しく、丁寧にもぎ取ってあげてくださいね。
採れたてのしいたけを七輪でおいしく食べる方法

椎茸狩りの後のお楽しみは、採れたてを七輪の炭火焼きで味わうこと!
これ以上の贅沢はありません。炭火で焼くことで香りが立ち、旨味がぎゅっと凝縮されます。美味しく焼くための、ちょっとしたコツをお伝えしましょう。
傘の裏側のヒダを上に、傘の表側を下にして網に乗せます。
(軸の部分、石づきは取っても取らなくても大丈夫です)

注目すべきはヒダの部分!下からじっくり火を通していくと、やがてヒダ全体に水滴(つゆ)がじんわりとにじんできます。これが最高の食べ頃の合図!

絶対に焼きすぎないこと!焼きすぎると水分が飛んでパサパサになり、せっかくのジューシーさが台無しです。裏返す必要もありません。ヒダに旨味の汗が浮かんできたら、すぐに網から下ろして熱々をどうぞ。
お好みで塩、醤油、マヨネーズなどをつけてお召し上がりください。竹原原木椎茸では醤油は九州の少し甘めの醤油をおすすめしております。

七輪焼きは、しいたけ本来の味をしっかりと感じられます。噛めばじゅわっと旨味があふれ、コリコリとした食感が口の中に広がるはずです。
しいたけ嫌いも克服?!原木しいたけの魔法
「子供の頃から、しいたけの匂いや食感がどうも苦手で…」というお話を時々聞きます。
でも、不思議なことに、私たちの農園で椎茸狩りを体験された方の中には、「ここのしいたけなら美味しく食べられた!」「長年のしいたけ嫌いを克服できました!」と喜んでくださる方が本当に多いんです。
理由の1つとしては、原木しいたけは、いわゆる「きのこ臭さ」が少なく、風味が上品に感じられる点やグニュッとした食感が少なく歯切れが良いことがあげられます。

農園に来てくれた方の中には、「普段食べているしいたけとは、全く別のキノコみたいだ」とおっしゃる方もいるほどです。食わず嫌いの方や、しいたけが苦手なお子さんにも、ぜひ一度、先入観を捨てて挑戦してみてほしいですね。
持ち帰ったしいたけの保存方法

椎茸狩りでたくさん収穫したら、お家に帰ってからも美味しく楽しみたいですよね。正しい保存方法で、美味しさを長持ちさせましょう。
竹原原木椎茸の冷蔵保存のコツ
冷蔵保存の場合は、美味しく食べられる目安が1週間以内です。
- 基本的に洗わずに保存します。(特に秋や春のしいたけは水分を含みやすいので注意。冬場の乾燥している時期のものは、土などが気になる場合は、さっと軽く水洗いしても大丈夫です)汚れはキッチンペーパーなどで優しく拭き取ってください。
- 通気性のあるポリ袋(スーパーで肉や魚を入れるような薄手の袋がおすすめです)に入れ、口は縛らずにふんわりと閉じて、冷蔵庫の野菜室へ。袋を密閉してしまうと、しいたけ自身の呼吸で結露し、かえって傷みやすくなるので注意してください。
竹原原木椎茸の冷凍保存のコツ
冷凍保存の場合は、ポイントを押さえておけば1ヶ月以上持ちます。
- 軸(石づき)を取り、スライスなど使いやすい形にカットします。
- ラップで小分けにするか、冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ
実は、しいたけは冷凍することで細胞が壊れ、旨味成分(グアニル酸)が増すと言われています!ただし、解凍すると食感が少し柔らかくなるので、凍ったまま煮物や炒め物、汁物などに使うのがおすすめです。
椎茸狩りにおすすめの時期は?
ちなみに、当園での椎茸狩りは、主に春と秋のシーズンにお楽しみいただけます。気候によって多少時期は前後しますが、この時期は私たちが観光農園で育てている品種(周年菌)が生育しやすく、美味しいしいたけをたくさん収穫できるベストシーズンです。最新の開催時期については、公式Instagaramをご確認いただくようお願いします。
まとめ:五感で味わう感動体験をしいたけ狩りで。

豊かな自然の中で、太陽と雨、そして木の栄養だけで育った原木しいたけ。
それを自分の手で収穫し、採れたての香りと味をその場でいただく。私たちの農園での椎茸狩りは、ただ食べるだけでなく、五感すべてで自然の恵みを感じられる、特別な体験です。
他では味わえないコリコリとした食感、噛むほどにじゅわっと広がる深い旨味、そして炭火で焼いた時の香ばしい香り…。一度この味を体験されたお客様の中には、毎年リピートしてくださる方もいらっしゃいます。
しいたけが苦手な方も、騙されたと思ってぜひ一度、挑戦してみてください。きっと、新しい美味しさに出会えますよ!
春と秋の椎茸狩り体験はこちらから詳細をご覧いただけます。
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